バンビ

バイトが終わって、ビトに電話をかけた。


待ち合わせの場所は、青山のカラオケ店で、たまーに俺らが行くトコよりは、なんかちょっと敷居が高そうな感じのトコ。

普通に、レストランって感じ。


ビトは、一足先に店についていたようで、指定の部屋に向かうと、二人にしてはちょっと広めの綺麗な個室だった。



「ゴメン急に誘っちゃって。おなか空いてない?なんか食べようよ。」

ビトは先に、ドリンクだけ頼んで、フードメニューを見ていた。



「なんか、スゲーなここ・・・カラオケじゃねーみたい・・・」


ちょっとロココ調って言うの?
ふかふかなソファーに、暗すぎない程度の照明がみょうな気分にさせる。
デートで来るにはいい感じかもな・・・


「なに、モモとこういうとこ、たまにきてんの?」


何となくそう聞いたら、二人ではきたことないやって、淋しげに言われた。

ああ、なんか二人で外出とかしたことないんだったっけか?
気にしてることきいちゃったかな?



「あ、呼んどいてなんなんだけど、タバコとか酒はNGでお願い。
俺そういうのツレがやってても、ヤバイからさ・・・」



なんか、プライベートも、色々気を使わなきゃいけないっぽくて、大変そうだなって思いながら、適当にコーラとポテトなんかを選んで、タッチパネルの注文を押した。



BGMがわりに、適当にビートルズメドレーかなんかをビトが勝手に流している。

はじめっから、歌う気は無いっぽい。



「こういうとこしか個室取れないからさ。」


なんだか色々大変だなって、思わず同情してしまったりした。






「で、話ってなに?」


俺の分のドリンクと、適当に頼んだ食べ物が揃うと、それをつまみながら二人で何となく話し出した。



「特にこれっていう感じじゃないんだけどさ、エイジとゆっくり話してみたかったんだよね。」


なんだ、モモのことじゃないんだって言ったら、まあそれもちょっとはあるかななんて、奥歯に物が挟まったような、曖昧なことを言う。