「りんさん、ビールのみたいな~♪」


調子こいてそんな事言うから、お前なーって文句言おうとしたら、母さんは笑いながら丁度缶ビールみたいなやつを持ってきて、エイジに差し出した。

「これ、ノンアルコールのビールじゃん!?」


「未成年は、それで我慢するのよ~♪」

二十歳になったら、あびるほど飲ませてあげるからって、母さんは笑った。



「そういえばさ、なんで急にチーズケーキなんか作ってんの?」

僕はモモにそう聞いた。


「なんか、ビトが急にNYにいた頃みたいな、チーズケーキが食べたいっていうから・・・」

わざわざ自由が丘の高級スーパーまで行って、そこでしか売ってないクリームチーズを買ってきて、昼過ぎから作っていたんだとか・・・

母さんが作った方は、モモの真似して近所のスーパーで適当に買ってきた材料で、ぜんぜん味がちがうんだって力説していた。


「そんなに美味いの?」

エイジは僕の食べかけのケーキを一口だけ食べた。



「ふーん、なるほどね。美味いじゃん・・・」



モモはそんなエイジを見て、ちょっと恥ずかしそうにしていた。




「ビトって、モモの彼氏?例の12歳で・・・」

そこまで言いかけたとたん、僕はあわててエイジの口を塞いだ。



なに?ってモモはきょとんとしている。

「言いかけてやめないでよ。」


慌てる僕を見て、エイジはからかうように笑った。



「12歳の頃から、付き合ってんだってな?」

モモは普通に、そうだよって答えてる。



なんだよ、紛らわしい事言うなよ・・・ってかわざとっぽいな・・・

ちゅーか、いきなり人の妹を、呼び捨てにしないで欲しいな。



「今日はビトもくるの?」


やけにモモがそわそわしてるから、何となくそうきいた。


「うん・・・多分来ると思うんだけど・・・仕事が押しちゃてると遅くなるかも?」


最近ビトは、忙しいみたいだからな。