それからカオリンが、俺が飲めない代わりに、一人でガンガン酒を飲んでいた。

いつもはずっとビールらしいけど、今日に限って焼酎とか日本酒とかも飲み始めて、ずっと関係ないアイドルの話を連呼している。

レンは相変わらず、ガツガツ色々食べてるし、モモはそんな二人に調子を合わせて、相槌を打ちながら楽しそうに笑う。


そう、きっと二人は、ももを笑わせたくて、一生懸命になってくれてるんだなって思った。


「モモ、これもおいしいよ。」

仲良し兄妹は、おかずを取り分けてあげている。
ついでに俺にも、カラアゲとポテサラをとりわけてくれた。


「エイジ君って、子供の頃からこういうの食べてた?」

モモは一つ一つしっかり味わって、今度作ってみようなんてぶつぶつ言っている。

「そういえば、子供の頃はこういうおかずだったな・・・酒のつまみみたいなのが多かったかも。
久しぶりに食べて思い出したけど、小学生の頃まで食事って親父が作ってたんだよな。」



夜は仕事に行ってたらしいから、一緒に夕飯を食べるなんてことはめったになかったけれど、この味は親父のなんだ。


親が週末婚をすると言い出して、ただでさえ親父とすれ違いが多かったのに、中学に入ってからはほとんど顔を合わせなくなって、リンダと出会ったときをきっかけに一切話さなくなった。

だけど、リンダのせいだけじゃなかった気がするんだよな・・・



親父の作ったから揚げは、さめてもおいしくて、モモの作ったヤツとはまた違っていて、とても懐かしい味がする。

モモが食べかけていた卵焼きをもらうと、なんだかとても優しい味がして、これはモモ作ったやつに似てるなとも思った。





「カオリさん、ちょっと寝ないでよ・・・」


そういえば、急に静かになったと思ったら、カオリンはうつぶせて眠ってしまっていた。


「あー門限過ぎてるじゃん。どうしよう・・・」


モモがおろおろしながら携帯の時計を見ているから、じゃあ帰るかってそこでお開きにすることになった。