Babyの楽屋に当たり前のように入っていくレンの後をついて行く、なんかこういうの初めてで少しドキドキした。

「俺も入っちゃって大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ、俺たちの関係者用のパスだから。」

そんなもんなのかと思って広い楽屋スペースを歩いていると、知ってる有名バンドがいっぱいいてスゲーって思った。


「おお、いい男が来た!」

Babyがそんな恥ずかしいことを言いながら俺たちに手を振るので、何だか照れる。



「モモちゃん、彼が迎えに来たよ。」

楽屋でちんまりと座ってるモモを見ると、ちょっと様子がおかしくてどうしたって声をかけた。



「うん、ちょっとね、熱中症かな?」


そうか、暑かったもんななんて心配していたら、ビトとアキラとカオリンが近くにいて、ちょっときてって呼ばれる。

レンにモモを任せると、俺はそっちに顔を出した。




「ゴメンエイジ君、ちょっとトラブルがあってさ・・・」

カオリンが申し訳なさそうに謝ってくる。


「モモちゃん、ビトのファンに囲まれちゃってさ、色々言われちゃって・・・」


「あんた何してんの、彼氏じゃないの?こんな状況でこの子がどういう目にあうかわかるでしょ?」


黒髪ロングの、いかにもアイドルって感じの知らない女が、いきなり怒鳴るので、何事かと思う。


「ちゅーかお前誰?」


そういうとアキラが「こいつがモモをここに連れてきてくれたんだよ。」と教えてくれた。



「あ、ゴメン、なんかありがとな。」


俺はモモの事が気になって、ちらちらと後ろを見ていた。

やっぱりこんなところで、モモと離れるんじゃなかったと後悔する。



「いや、私がちゃんと見てなかったから。
百花ちゃんが、無理やり引っ張ってきてくれなかったら、どうなってたか・・・」



「また俺のせいで、モモちゃんに辛い思いさせちゃったな・・・」

ビトがそんな風にやっと口を開いた。


「イヤほんと、俺が離れなければよかっただけだよ・・・」


その百花って女は、始終イライラいてるようで俺たちの会話を聞いている。


「誰も悪くない、一番悪いのはボスのミキだから。あいつが全部してるんだから!
いい人ぶってモモに近づいて、裏情報とか流しまくってたのあいつだからね。」


ああ、あの時ビトのショーで会ったあの子のことだ。

それにしても、こいつは何でここまで色々わかってんだろう。
そんでなんでこんな所にいるんだろう。


「お前がやってたんじゃなかったのか。」

ビトがびっくりしたようにそういうと、
「私はビトの大事な人にそんな酷いことしない。」と言いきっていた。



「ここにいれば安全だから、しばらくはいてもいいよ。」

アキラが穏やかに、そういってくれてありがたい。








なんとなく事情がわかって、俺はモモのところに戻ることにした。