僕は広いリビングにとおされて、そこでエイジの準備が出来るのをぼんやりまっていた。

色々CDとか貸してくれるって言ってたな・・・




「あら、レン君きてたんだ?いらっしゃい。」


声の方に振り向くと、スウェットの上下に髪を無造作に結わいて、眼鏡をかけたおばさんが立っていて、一瞬誰?って思ってしまった。


よくみたら、みちるさんで、前にライブハウスで会ったときとはぜんぜん違う感じなんで、びっくりする。



「母さん、そんな格好で人前にでんなっていってるだろ!?」


エイジがぶつぶつ言いながら戻ってくると、そんなことを言ってちょっと怒っていた。



「だって、きてるの気付かなかったんだもん・・・」


みちるさんは、疲れたような表情をして、コーヒーを一人でいれるとじゃあと言ってさっさと仕事部屋らしい自分の部屋に戻っていった。




「なんか、別人みたいで、ビックリした・・・」


「締め切り近くになると、外見とかかまわなくなるんだよね、あの人。」

まるで他人事のように、エイジはそう言った。



じゃあいこうかってことになり、エイジは出かけてくるとみちるさんに声をかけてから、二人で早速僕のうちに向かうことにした。