「なんかこの前Babyに会ったとき、言われたんですよね、似てるって。」

やっぱ似てるのかな?俺ってこの人に。そう思ったらちょっと嬉しくなった。

「どの辺が似てるのか、気になってたんっすけどね。」


「似てねーよ、俺はもっと普通だった。」

そういってまた否定されるけど、どう考えても普通だったなんてありえないだろうなって思う。
だって、俺と同じころは、もうビトみたいなアイドルだったはずだ。



高校生の頃かあ・・・そういえばあのドラマもそうだったなって思い出した。

「あ、あれ見たことありますよ、童貞のドラマ。」

一番好きだったドラマを思い出した。


「それってすっごく昔のドラマ?」

モモは知らないみたいで、そうきいてくる。

「そうそう、高校生四人組がその学校で唯一の童貞って設定で、そのなかの一番さえない男の役だったヤツ。」

あれ、ほんとに童貞みたいで、凄かったよなこの人の演技。
絶対そんなはずないのにな、ホントはトップアイドルと付き合ってた高校生だったはずだから。


「よりによってなんであれなんだよ・・・」
かずなりさんは、またうなだれている。


「正平が、パンクスになるシーンあったじゃないっすか。あれがぜんぜんパンクじゃなくて面白かったな。
あ、俺あの台詞に出てくるアンティノックとかよく行くんっすよ。」

微妙にダサくしてるのも、絶妙だったんだよな・・・演出と脚本がよかったのもあるだろうけど。


「ねえ、何でそんな詳しいの?」

「うちの母さん、かずなりさんのファンだったからな。」

そういえば初めていうな、

「最近はそうでもないかもしれないけど、俺が小学生の頃とか、凄く見てたぜドラマとか。DVDあるから何度も見てたし、っていうか見せられてたし。」


高校生なんて、やることばっか考えててさ、だけど純粋で馬鹿でそういう感じがリアルで絶妙な青春ドラマだったんだ。

母さんは結構、何度も泣きながら見てたもんだ。


「母さんにさ、正ちゃんみたいになれって言われたんだよな、子供のとき。」


「それってどういう意味?」

モモが不思議そうにそうきいてくる。

「正平はさ、バカだけど凄く誠実で真面目なやつなんだよ。そういうことだろ?」

かずなりさんが代わりに答えてくれた。