「なんだろうね? セフレかなぁ?」

ハッキリそういわれてしまって、ああやっぱりかぁって僕もがっかりした。
リンダさんも酔ってんのかな?


「なんで、今の話ぶりだと、めっちゃリンダちゃん彼の事好きっぽいじゃない!」

僕の事なんかお構いなしに、二人で熱く話し始めてしまうので、僕はそっと席をたって隅のカウンターに逃げた…


「なんでちゃんと付き合わなかったの?」

「だって、あの子ずっと年下だもん、はじめ会ったときはホントに子供だったし。」

「そんなの、うちらもそうだよ?レンなんて8つも年下だもん。でもちゃんとレンは言ってくれたよ、付き合おうって。年なんか関係ないじゃん!」



なんか、うちらの事まで言わなくていいのにって恥ずかしくなりながら聞いていると、相変わらずテツさんは笑ってみている。

「彼女良い子だなぁ…」

カオリさんの事をそんな風に言って僕に同意を求めてくるので、ハイって答えた。



「私なんかが彼女だと、エイジがかわいそうだもん。」

そうやって俯いて言うリンダさんに、カオリさんは急に彼女の肩に両手を置いて向かい合ってじっと目を見てこう言った。


「“私なんか“なんて絶対いっちゃダメ!

言ったらどんどん惨めになるだけだって…

私だって!って前向きにならなきゃダメよ、
西門総二郎も言ってた!」

誰だそれって思ったら、リンダさんも笑って

「それって花男の?」なんて聞き返していた。


ずいぶん昔の漫画だよねって、なんか二人で笑いあっていた。



「ああでも、もう遅いかぁ… 私モモちゃんも好きだしなぁ… なんかうまくいかないねぇ~」

そうやってうなだれているカオリさんに、リンダさんが今度は彼女の背中を叩いて励ますように言った。


「大丈夫、カオリちゃんにハッキリ言ってもらえたらなんか元気出た。」

そして又、二人で乾杯なんかしてジョッキのビールを飲み干してしまう…


「テツさん!黒霧島のロック下さい!」

「じゃあ私も!」


テツさんはハイよって言いながら、二人に波波と芋焼酎のロックを注いで渡している。

「なんか若いって良いな、バカで。」


そして僕には、なんか食べるかって賄いのカレーなんかを出してくれた。