「母さんの影響で、昔のロックとかばっか聞いてんだよね。
だからさ、そういう音楽の趣味とか合う奴がいなくて、ちょっと淋しいなって思ってたところ。」


俺は趣味が合いそうとでも思ったのかな?
この髪型のせいだろうか?
なんとなく、シドを意識してるから。


親の影響といえば、俺だってそうではあるんだけど。


「べつに、髪を立ててるだけで、PUNKとは限らないだろうよ。
ファッションパンクみたいなやつ、原宿とか行けばいっぱいいるぜ・・・」

そんな奴にかぎって、ジョン・ライドンの名前さえ知らないんだ。



「でも、高橋君は違うでしょ?」

でっかいおにぎりが三個も入ってる弁当を、ぺろりとたいらげて、野球馬鹿はそう笑った。


「なんか、おなじ匂いがするっていうかなんていうか・・・」

そんなことをいって、また可愛らしくはにかむ。


「二宮って、なんか変な奴だな。俺なんかに興味あんの?
野球ばっかやってる奴だと思ってた。」



そんなこと無いよって、奴は続ける。


「小学生の頃からさ、確かに野球が好きで、そればっかやってたよ。

でも、中学に入った頃から、毎年連れて行ってもらってた夏フェスとかでも、自分でライブとか進んで見るようにもなってて、
ライブ見てるうちに、そんな仲間も増えていってさ・・・

楽しいじゃん?そういう仲間と一緒に、歌ったり踊ったり騒いだりすんの。」



「俺も、学校で友達作るより、ライブとかで知り合った仲間といる方が楽しいよ。」


今日もライブあるしって言ったら、何のライブってしつこく聞いてくるので、普通にバンド名を挙げてみたら、意外なことに奴も知ってると言い出した。



「新宿ロフトって、まだ行った事ないや・・・僕も行ってみたいなー!」


あんまりニコニコしてそんな事言うもんだから、つられて「一緒にくる?」とか誘ってしまった・・・