「なんだかな、僕がアイドルとして有名になればなるほど、プライペートなことは悲惨になっていく気がするよ。」


ビトはあきらめたような口調で、ビールを飲みながら天井を見上げていた。

俺は何て言っていいのかわからなくて、ただ相づちを打つばかりだ。


「でもさ、ちゃんと乗り越えて見せるから。今までモモちゃんがいるって、どこか甘えてたからさ。
何にもしてなかったもんな、俺…」


確かにそうなのかもしれないけれど、三年も付き合ってきたからにはなにか深い絆があったんだろうとは思う。

「そんなことねーだろ。俺が見てきたモモとビトは、とても幸せそうだったよ。
あれが嘘なら、世の中のもの全部嘘だろ。」



そうだよ、モモはビトを嫌いになった訳じゃないんだ…

そう思い出したら、少し胸が苦しくなった。なんだろうこの気持ちは…
今は俺でも、又ビトに戻るかもしれないって、そんな不安。


「エイジってさ、見た目と違ってめっちゃ優しいよね。俺すぐめんどくさいとか思っちゃうし、泣かれたりすると。だからさ、ずっとモモちゃんは俺の前では笑ってたんだよな。」


「俺だってそうだよ、ただほおっておけないだけだ。」

そういえば、Babyにも言われたな、モモは愛想笑いしてるのが普通だって。
俺の前ではいつも、あんなに感情むき出しなのに。

特別に思ってくれてるのか…


「さっき言ってたじゃん、モモちゃんは喜怒哀楽が激しいって。そんな彼女俺は数年みたこと無いよ。」

ビトは諦めたように話した。



「たぶん大丈夫だな、もうエイジに任せたから、彼女のことはさ。
もう気にしないでいてよ、俺も気にしないし、モモちゃんは幼馴染みでエイジは友達で、それでいいじゃん。」


だから又こっそり飲もうぜって、ビトは最後にやんちゃそうに笑った。