「昨日モモとデートしてたんでしょ?」

お弁当を広げながら、いつものようにエイジに話しかけていた。

ヤツは、ああ、とか何とか言いながらいつになく上の空みたいだ。
いつもならきっと、真っ先に僕の童貞喪失話にくらいついてきてもいいはずなのに。


「ねえどうしたの?」


あまり話そうとしないエイジを見て、なんだか調子が狂う。



「やーっぱ、お前には話せないからな・・・」


モモはなんていってたって聞かれたけど、特に何も言ってないとは伝えた。

「ただ、エイジと付き合う事になったって言ってたよ。」


いくら鈍感な僕だって、あんなにはしゃいでるモモを見てれば、特別な事があったってのはわかるよ。


「なんだか不思議だよね・・・双子ってさ、そういうタイミングも同じなんだなって思ったよ。」


そんなことを言ったら、新鮮に
「お前、もしかして昨日のデートでやれたの?」
なんてびっくりされた。



あんだけクラス中で騒がれてたのに、ぜんぜん聞いてなかったんだな、まあいいけど奴はそういうところあるし。


「もう、お願いして無理やりみたいになっちゃったけど、何とかね・・・」


エイジは急にいつものようにニヤリと笑って、その先を聞きたがる。


「ちゅーかさ、そっちもしたんでしょ。」

あっという間に弁当をたいらげて、はっきりしないエイジにそういってやったら、小さくうなづいていた。



「...なんかごめん。」


なんであやまるのさ、どっちかというとモモが元気になってよかったって思ってるくらいなのに。

それに、絶対ふられると思ってたのに、いきなり付き合うとか言うからびっくりしただけで。



それからエイジは、今まで見たこともないような幸せそうな笑顔で、
「できるだけ、ちゃんと付き合おうとは思ってるよ、ビトのためにもな。」


なんて言ってくれた。