「俺んちに来るか?」

やっと泣き止んだモモに、なんとなくそんな事を口走ってしまった。

彼女は小さくうなずいて、俺の手をとりうつむきながらついてくる。

わかってんのかな?それがどういうことか。


原宿駅から山手線に乗り、新宿で総武線に乗り換えて、高円寺に向かう。
俺たちはなんとなくろくに会話もせず、ずっと手をつないだままだった。

さっきあんな告白をしてしまったからか、なんだか自分の気持ちが止められない。
このまま暴走してしまいそうな気がする。


モモのキスは、慣れているのかやたら優しくて、さりげなく舌を入れてもちゃんと返してくる。
全然今までのとは違う。抱きしめたら崩れていきそうで、必死に俺の背中にしがみついていたのもかわいかった。


好きと初めて言葉にすると、今までの曖昧な気持ちに鮮やかな色がついたような気がした。

きっと、これが普通の恋なんだ。





「エイジ君、なに笑ってるの?」

小さなモモが俺を見上げながら、その細い指で俺の頬に触れた。

ああ、俺笑ってるんだ… こんな風に普通に笑えるんだ…

今度は急に泣きたくなってきた… 嬉しくて。