声をかけてきたのは、やっぱりリンダで、一気に変な汗がどっと出てくるのがわかった。

「ああ・・・」

だめだ、リンダの前だとまるで子供だ、ろくに話せない。うつむいてもじもじしてしまっていると、モモがすぐ気付いてリンダに普通に話しかけていた。

「こんにちわ~、エイジ君のお友達?」

そういいながらモモはニコニコとリンダに話しかけているんだけど、なんだか目の奥が笑っていないのに気付いた。

「何してんだよ、店はあっちだろ・・・」

そんな風にリンダに向かって言ってしまったけど、遅番だから今来たところだとかいわれて、なんてタイミングだと絶望的になった。

「ふーん、良かったじゃん、彼女できて。めっちゃかわいいじゃん!」

リンダがそんな風に茶化すと、

「そんな事ないですよ~」って、とって付けたようなアイドルスマイルでモモも言い返す。



もうヤダ、逃げたい。



「私はただのライブ仲間だから、安心してね。」

俺が何も言わないのをいいことに、適当な事を言う。その言葉にまた俺は傷ついているとも知らずに。



「もう全部見ただろ、帰ろうモモ。」


俺は無理やりモモの手を引いて、「じゃあな。」と言い捨ててラフォーレを後にした。