前と同じ場所で朝の早くから待ち合わせをして、俺たちはバーゲンの列に並んでいた。

もうのっけから行列かよ、ヤダもう帰りたいと思いながらも、付き合ってやらなきゃかわいそうだしなと思いつつ必死に我慢していた。

待っている間、モモは饒舌に色々な事をおしゃべりしてくれるので、かなり気はまぎれたけれど。


ああそうか、俺にあわせて無理に話してんだなって、ふとした瞬間気付いて、なんだかたまらなくかわいく思えたりしてな。


ああまただ、この感じ、胸の奥のほうがモヤモヤとして、なんだか温かくなる感じ、モモといるといつもそうなる。
きっとそれがあれなんだろうけど認めたくはなかった。


店がオープンすると、みんなお目当てのショップに足早に向かっていく。
モモのお目当てのショップは割りと上のほうの階だったので、リンダがいる地下のフロアには行かないだろうと思っていたんだけど・・・

「まず上から順番に下に行こう、とにかく全部見たいんだ。」

なんて恐ろしい事を言い出した。



「あ、あのさ、下のほうってモモの好きな服はないと思うぜ。」

そういってやったのに、とにかく全部見るんだって聞かないものだから、仕方なくハラハラしながらずっと付き合ってやった。


いくつかのショップに入って、お気に入りの服や小物を数点購入して、モモはご機嫌になっている。
かなりかさばる荷物になったので、そんなに重くはないけど一応俺が持ってやった。

もうすぐ例のショップだ・・・今日はバーゲンだから絶対出勤してるんだろうな、最悪だ。何とか逃れるすべはないものかと思い巡らせているうちに、モモはどんどん先に行ってしまった。




ふと階段の横を見ると、ちょうどいい感じのベンチが偶然開いて名案が思い浮かんだ。

「俺ここで待ってるから、見てくれば?」
わざとぐったりしているような振りをしてそうモモに言うと、わかったと素直に聞いてくれたので、ほっと胸をなでおろす。


ついでに休めるし、一石二鳥だ。



そう思って安心していたのに、不意に後ろから声をかけられた。




「あれ、エイジじゃん、なに彼女と買い物?」