次の日曜日、僕は吉祥寺にいた。

学校の近くだから、クラスメイトとかにみつかるんじゃないかとないかと、はじめは気にしていたんだけど、カオリさんに会ったとたんそんな気持ちも吹っ飛んでいた。

二人で井の頭公園の池のまわりを散歩しながら動物園に向かう。

「手とか繋いじゃう?」

そんな風に彼女があっけらかんと言うから、幼稚園の遠足みたいな気分になる。

まあいいや、このまま子供の気分でいれば、緊張しないで触れていられる…かも?


動物園のなかはやっぱり狭くて、うちらの他には小さい子供ずれの親子ばかりだった。

子供に混じって僕もカオリさんもはしゃいでいた。

「猿山ってさ、ずっと見てても飽きないよね~
ほら、あそこの子猿チョーかわいくない?」

繋いだ手をブンブン振り回しながらそんなことを言う。

「あっちのマイペースなやつも面白いよ。」

猿山のてっぺんで、ボスらしき猿がでんと寝そべっている。
その姿が何となくエイジに似てるとか思っていた。


「あっちのすばしっこいやつは、レンっぽくない?」

そう指差された猿は、ボスにちょっかいを出そうと山を駆け上がり、途中で落ちそうになったところを体勢を翻した。