結局モモはやんわりと核心を教えずに、別の話題にすぐ摩り替えようとして、本当の理由を教えてくれなかった。


ひとつだけはっきりしていることは、ビトが嫌いになって別れるってわけじゃないって事。


むしろ、あいつのために別れたって感じなんだろうけど、”アイドルは恋愛禁止だから”ってことや、あいつのファンに危険な目にあわされたからってことだけじゃないっぽい。



まあ言いたくないなら、それでいいけど。





モモは逆に、俺の好きな女のことをやっぱり聞きたかったみたいで、会話の節々にフェイントをかけて言わせようとする。

普通のやつなら話してしまうんだろうけど、なんとなく俺はその裏が分かってしまってあえて何も答えなかった。



「好きなタイプの人ぐらい、教えてくれたっていいじゃん…」



いい加減俺がはっきりいわないので、痺れをきらしてきたみたい。







まあ、それぐらい教えてやってもいいかな…

後でレンにあれこれ聞かれるよりはましだろう。





「そうだな…
好きなものに、まっすぐ正直に生きてる女が好きかも。」






すでにコーヒーを飲み干していた俺は、お冷のコップを手にして一気に水を飲んだ。





なんなんだろうな?

他のやつにもそうだけど、モモには言っちゃいけないような気がするんだ。


リンダの事は







「そうなんだ。」


それだけ言うと、少し納得したようにモモは微笑んだ。