「レンから聞いたの?」


しばらくの沈黙の後、モモは紅茶にミルクを入れながら逆に聞いた。


透き通る褐色の液体が、混ざってクリーム色に染まっていくのをぼんやり眺めながら。


「ああ…」




さっきまでニコニコとご機嫌だったモモが、少しうつむいて何か言いたげな、それで言いづらそうな難しい表情をする。






「やっぱね、アイドルは彼女作っちゃいけないんだってさ。
わかってたけどね…」



まだ何か理由があるはずなのに、モモはその先をなかなか話そうとはしなかった。





「それだけじゃねーんだろ?
レンが、モモから直接きけって…」












「ただの幼馴染って思ってたのは、ホントは私のほうだったのかも?

それに気づいちゃったから…」






モモは納得して別れたの?


モモから切り出したんじゃなかったのかよ?






「俺があんなこと言ったから?」



やっぱり気になって、はっきり聞いてしまった。







「そうだよ。

でも、言われなくてもそうしてたのは、時間の問題かも?

エイジ君に、背中を押してもらったって感じかな…」





モモは紅茶を一口飲んで、そして口角を少しあげて笑った。

それがなぜか、とてもさびしそうに思えた。