「ねぇ、カオリさん。
この前言ったことだけどさ…」


駅前の賑やかな商店街に差し掛かると、僕は足を止めて先に歩いていた彼女の背中を見つめた。

声をかけると、小柄な彼女はすぐに振り向いてくれる。





「あれ、本気だからね。

ちゃんと僕のこと見てほしい。」




それは一人の男としてだよ?


伝わってるのかな?



「うん、わかった…」


カオリさんは、真剣な表情でそれだけ答えると、またいつもの笑顔にもどる。





そして、人混みに紛れながら、今度は彼女の方から僕の手とって、二人手を繋ぎながら駅まで歩いて行った。



もうそれだけで、ドキドキが止まらなくなっていた…





周りからは、僕らはどんな風に見えるのかな?

仲良しのお姉さんと弟?

偶然会った先生と生徒?


カオリさんは童顔で小柄だから、ごくごく普通のカップルに見えてたらいいな…

なんて、そんな風に思いながらにやついてしまった。