目黒駅から電車に乗ると、モモの言うように痴漢なんか出そうもないくらい空いていて、少し安心した。

二駅ぐらいしか乗らないから、変な奴に遭うこともないだろう。



安心した途端、モモに聞きたいことがあったって思い出した。



「なぁ、ちょっとお茶でもしていかねぇ?」


モモはやたら嬉しそうにウンと頷いた。

さっきみたいな、狙ってる笑顔じゃなくて、とっても自然な笑顔で…



モモんちの最寄り駅で降りると、商店街から一本外れた大通り沿いのカフェに入る。


ちょうど下校の時間なせいか、女子高生なんかの若い女だらけのこ洒落た店だ。

真っ白な壁と、クリーム色のインテリアが妙に明る過ぎて、目眩がしそう…


今日はモモに合わせるかって、居心地が悪いのを我慢しながら、一番隅の目立たない席に座った。



俺はコーヒーを、モモはケーキセットでシフォンケーキとミルクティーを頼む。









「お前、ビトと別れたんだってな。」


注文の品が揃うと、俺は慎重にモモの様子を伺ながら、ゆっくりと話し出した…