ライブが終わった後、俺の母さんとなぜかレンの母さんも打ち上げ会場になったロフトにいた。


ちょっと年は離れているけど、二人とも仲は良いみたい。

俺とレンは、いままで全く交流は無かったのに、親同士って意外なところで繋がってるのな?


レンは、ちょとおどおどしながら、酒も飲まずにちくわ炒めなんかを夕飯代わりにして、烏龍茶を飲んでる。


「お前、酒のめねーの?」

こういうとこにきたんだから、無礼講で飲んじゃえいばいいのに・・・なんて思ったけど、意外と奴は真面目だった。


「ちゃんと飲んだことなないんだよね。
いつも家でいろんな人がきて飲んでて、たまにちょと飲まされたりするけど、あんまり美味しいとかわかんないし。」


やっぱ、スポーツマンは真面目なんだな・・・

ボソッと独り言のようにそう言うと、美味しいと思ったら隠れてでも飲むと思うよって、真剣に答えていたのが、おかしかった。




俺たちは、勝手に盛り上がってる母さんたちをほっておいて、奥のバーのほうにしけこんだ。

トイレの近くだったからか、たまに知り合いの兄さんやバンドのメンバーなんかも通り過ぎて、色々話し掛けたりもする。


だいぶ酔っぱらってきたから、俺もレンを見習って酒は控えるか・・・なんて思っていたら、聞きなれた心地良い声がどこからか聞こえてきた。












「エイジ、きてたんだ?」











不意に名前を呼ばれて、いつものようにドキドキしだした・・・






声の主は、リンダだった。


俺よりちょと年上で、華奢な体にいつもライダースを羽織っていて、フリルのスカートから伸びる足元には、エンジニアを履いている。

俺の一番好きなスタイルに、少し見惚れた・・・





「あぁ。リンダはライブ中いなかったよね?今きたの?」


そうだよって笑って、俺の隣に座ると、いつものヴィヴィアンの香りがふんわりと漂った。