「ああ、大丈夫ですよ・・・私が責任もって、ちゃんと送っていきますから・・・
え?そうでっすか?それならいいんですけど・・・」

なんだか怪しい会話をしている気がして、ちょっと気が気でない。




「エイジのお母さんて、なんか若くて綺麗だね・・・」

耳元で聞こえないように奴にそう囁くと、だろ?って嬉しそうに笑う。

きっと、自慢の母親なんだろうなって、その表情でわかった。




「レン君、なんかお母さんがこっちに来るって行ってるけど、いいよね?」






ハイ????






いきなりそんなこと言われて、あわてて電話を変わろうとしたら、もう通話は切断されていた…



やばい・・・なんか怒って迎えにくんのかなってびくついてしまった・・・



「前にレン君のお母さんに会ったときにさ、意気投合しちゃって、今度飲みにでも行きましょうって言ってたんだよね~♪
だから、一緒にきて飲みたいんだって~♪」


そんなのんきなこと言って、エイジの母さんはケラケラと笑う。


「ウソ、ほんとにくるの??
ヤベー、俺もあいてーw」


なんかエイジも心なしか嬉しそうだった。







まあいいけどさ・・・

父さんは、今日も遅いのかな・・・

妹の桃はどうしてるのかな・・・ビトんとこか、おじいちゃんとこにでも行ってるんだろうか?





うちの母さんは、もう50も近いというのに夜遊び好きで、うちにも母さんの夜遊び仲間がたむろって飲みにきたりしている。

自営業の花屋をしているせいか、人付き合いも異常に良い。


ぱっと見30代ぐらいにしか見られないから、こういうライブハウスとかにいても、あんまり違和感は無いんだ。

たまに一人で、夜な夜なロックなクラヴとかにも通ってるらしいけど、僕はまだ連れて行ってもらったことはない。


「まあしょうがないか・・・」

僕は、なけなしの金で、ジンジャーエールを買って、一気に飲み干した。