「あら、レンお帰りなさい。ねえモモがまだなんだけど・・・」


お母さんが心配そうに僕に笑顔でそう言った。



「モモなら、そこでビトと話してる。もうすぐくるよ。」



僕はそれだけ言うと、そこにお父さんもいることに気がついた。





「全く、あいつらは何時だと思ってるんだ・・・」

そういえば、モモの門限はもう大分過ぎていた。

僕には門限はないけど、あいつは女の子だからって、結構厳しくされてんだ。
いつもはそんなのあんまり守って無かったりするけどね・・・お父さん居ないこと多いから。



怒ってる勢いで、そのままモモを連れ戻そうとお父さんが裏口のドアに手をかけようとしたとき、僕は慌ててそれを止めた。



「なんか深刻な話みたいだから、もうちょっとそっとしておいてあげてよ・・・」




お父さんは、しぶしぶそれを聞いてくれて、また居間に戻ると一人でビールを飲む。


僕はなんとなく、そこにいなきゃいけないような気がして、お母さんが入れてくれたお茶を飲みながら何をすることなくずっとモモが戻ってくるのをまっていた。



「あんまりきつく怒らないであげてね・・・」


お母さんが、お父さんにそう言ってなだめているけど、お父さんのイライラはまだおさまらないみたい。


「わかってるよ・・・」


それだけ言うと、お母さんは話題を変えるように、僕に今日はどうだったの?なんてたわいも無いことを聞いて和ませてくれる。