あれから僕とビトは、ビトの事務所の車で家の近くまで送ってもらって帰ってきた。

車の中では、ずっと何も話せなかった。



僕はまだ、まともな恋なんてしたことがないから、こういう時なんて言ってあげたら良いんだろう?

モモとビトの二人は、きっとずっと一生一緒にいて、なんだかんだいって仲良くやっていくだろうって信じていたから・・・





「ちょっと寄っていっていい?」


うちとビトの住むマンションの丁度中間ぐらいで車を降りると、ビトはやっと口を開いた。


「うん、大丈夫だと思うけど・・・」


さっき決めたばかりの事を、もう切り出しちゃうんだろうか?なんだかとっても不安だ。






二人で商店街を歩いていると、駅のほうから見覚えのあるワンピース姿の女の子が歩いてくる。

ベリーショートの黒髪の、小柄な女の子。




え??

まさかね・・・なんて思っているうちに、ビトはその子にすぐ気がついて、声をかけた。





「モモちゃん!!どうしたの??」





それはやっぱり、昼間とは見違えるようになった髪型のモモで、僕もビトも目を疑うほど雰囲気が変わっていてびびった。




「どうしたんだよ、その頭???」


僕も思わずそう言ったら、モモはちょっと笑ってイメチェンなんて言いながらおどけてみせる。




ビトは、何か気付いた様で、一瞬で真っ暗な表情になっていた。






「僕のせい?」





何となく三人で歩きながら、ビトはぽつりとそう言った。





「違うよ。ずっと髪を切ろうと思ってたところだったから・・・」




そんなこと初耳だって言おうと思ったけど、何となく言葉がでなかった。


だって、モモが髪を切ろうなんて思うはず無いんだ。


ビトのために、ずっと伸ばしてたんだから。僕は知ってる。