目黒駅で一回乗り換えると、もうすぐモモの家の近く。

最寄りの駅の改札まで行くと、もうここでいいよって、笑顔をもう一度見せてくれた。



その笑顔が、なんだかとても複雑で、また泣き出しちまうんじゃないかって不安で・・・












「お前さ、辛いならビトと別れろよ。」











そんなめちゃくちゃなことをつい口に出してしまった。

二人がどれだけ惹かれあってるのか、俺だって充分わかってるのに・・・







ホントはさ、そんな夢みたいな恋愛に憧れてたんだ。

ずっと小さい頃から変わらず、一生愛し合って離れない絆ってもんに。
俺の初恋は、叶わないってわかってるから。

二人ならそんな恋愛も出来るだろうって思うけど。

あまりにもモモが傷ついてばかりいるような気がして、一人でいつも悩みまくってんだろうなって気がして、一生好きでいてやれなんていうほうが酷のような気がして。



改札を出たモモは、俺のそんな言葉を聞き流すように返事はしなかった。


「今日はほんとにどうもありがとう、おやすみ・・・」



右手をひらひらと振って、振り向きもせずに彼女は商店街の明るいアーケードの中に消えて行った。



俺はそんなモモの姿を、改札の中から見えなくなるまでずっと見守っているしかなかった