一通り食事が終わった後、改めておじいちゃんはビトとアキラに話し始めた。


「さっきアキラにも言ったけどね、これから二人デビューするわけだから、絶対スキャンダルはNGだから。
今まで以上に、身を引き締めてなきゃいけないよ。」


僕は、ドキドキしながらその話を聞いていた。

二人ともきっちりと姿勢を整えて、真剣に聞いていて、聞こえてくるのはお店の有線の明るいポップスだけ。












「だからビト、モモちゃんと今は別れなさい」








予想していた言葉が、おじいちゃんから発せられて、僕はウーロン茶を飲みながら俯いた。


ビトがどんな顔で聞いているのか、見たくなかった。


このことを後で聞いたモモが、どんな風に思うのか、想像したくなかった。



「それは出来ません!?」



ビトはハッキリとそう答えたけれども、声がちょっと震えている。



「YOUは、まだ未成年だろ?このままだと、モモちゃんが危ない目にたくさん会うと思うよ。
ハッキリ言って、今のYOUにはモモちゃんを守りきることは出来ないよ。」


もう少し大人になるまで我慢しなさいなんて、おじいちゃんはそういうけど、モモの気持ちはどうなるんだよ?

なんかそれが無性に悔しくて、やっと僕も言葉を発した。



「そんな酷いよおじいちゃん、ビトとモモはね、ずっと小さい頃離れ離れでさ、やっと一緒にいられるようになったんだよ?
今までだって、ファンの子と上手くやりながら付き合ってこれてたじゃない?」




おじいちゃんは、優しく僕をなだめるように「わかってるさ」ってそう言った。



「でもね、今までと状況は違うんだよ?
新規のファンがドンドン出来て、そういう子はビトとモモちゃんの信頼関係なんか、全部無視して好きになってくる。
確かにね、常識的に応援してくれる人がほとんどだけど、中には猟奇的な子も絶対出てくるんだよ。」







そして、僕ははじめてうちの両親の過去の話を、おじいちゃんから聞かせられた。