肉を焼きながらご飯をほうばっていると、そんな不安の主のビトが、そそくさとやってきて、僕の正面に座った。


「すいません、遅くなりました・・・」


帽子と眼鏡をさっとはずして、正座をしながら頭を下げる。



「いや別に仕事だったんだからしょうがないさ。今日はギャルソンのショーだったんだろ?どうだった??」



おじいちゃんは、和やかにそう聞くと、大成功でしたよってビトはいつものアイドルスマイルで答える。



「まあ、お腹空いてるだろうから、先ずは食べなさい・・・」

そう言われてビトも、少し恐縮しながら食事をしだした。




「モモちゃんとエイジも見にきてくれたんだ。
時間なくて、話せなかったけど・・・」


ビトは、小さい声で僕にそう言うと、後でメールしなきゃって嬉しそうに笑った。




その笑顔が僕にはちょっと切なくて、もうここから帰りたい気持ちにもなる。




聞きたくない、聞きたくないよ…




これからおじいちゃんが話すであろう、悲しい話なんて…