「なあ…」

信号が青に変わるとき、モモの手を強く握り締めると、「なに?」って不思議そうな顔をして俺を見上げる。




「よし、走るぞ!?」


モモはビックリしながら、俺の手を強く握り返して、そのまま一緒に坂道を走りだした。


二人で、ワーとかキャーとか、言葉にならない言葉を叫びながら・・・


周りからみたら、バカップルがじゃれてるみたいに見えたんじゃねーかな。



でもなんだか、走りたかったんだ・・・



意味も無く  走って  走って



モモもそんな俺に必死についてこようとしてる。




息を切らしながら、駅前の鉄橋に到着すると、やっと安心したように手を離す。


「なに?いきなりどうしたのよ??」

モモは笑いながら、うつむいた俺の顔をじっと見つめた。




「なんかさ、いきなり走りたくなった。意味なんかねーよ。」




それだけ言って笑って見せると、モモも笑い返してくれる。

うん、いい笑顔になってる。






大丈夫だよ、きっと大丈夫

これからは、俺が守ってやる




そう思いながら、もう一度モモの頭を撫でてやった。