「お母さんね、暫くお父さんの所にも行かないといけないし、緊急の時の連絡用に携帯電話を持つ事にしたの。

連絡がつかないと困るから、小夜子も持っててね」


状況が状況だけに断る訳にもいかず、受け取ったが、私は思わず手が震えた。



その時――

私は背後に人の気配を感じ、素早く振り返った。

誰もいる筈はない。
いる筈はないが…


玄関へと続く廊下の暗闇で、何かが動いた様な気がした――


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