翌日の朝――


いつもの様に、智子と一緒に通学中の電車に揺られていた。


「…――なんだって、笑っちゃうよねえ。

あ、ちょっとごめん」

智子はポケットから携帯電話を取り出した。


「順子からメール…

もう直ぐ夏休みだし、久し振りにゆっくり会いたいね。だってさ」


私と智子、それに順子は中学校の同級生で、何をするにも一緒の仲だった。

中学を卒業し、順子だけが別の私立高校に通っていた。


「そういえば小夜子…

もう携帯持たないの?
メール出来ないから困るって、順子も言ってたよ」

「ごめん…今は持つつもりになれないんだよね」


あの忌まわしい記憶が薄れてきたとはいえ、未だに私は携帯電話に触る事さえ嫌だった。


智子には、まだあの時の事は話していない…


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