男子達の輪の中に、数名の女子が加わりその場はさらに盛り上がった。

 ぼくは居心地の悪さに限界を感じ、意を決して席を離れた。



 ベランダには幸い誰もいない。5月の過ごしやすい涼やかな空気が身体を包んだ。冬服の下は冷たい汗で濡れていた。

 ぼくは大きく息を吸い込んで心を落ち着かせると、いつものように唱えた。



 友達なんかいらない。独りのほうが楽なんだから。



 そう、独りのほうがずっと楽なんだ。そう思うと少しだけ安心した。
 そして胸の奥がチクリと痛んだ。



 三時限目の始まりを告げるチャイムが校内に鳴り響く。