‐休み時間‐



 中学生になると、自分達の小学校に加え、別の小学校の生徒達とも一緒になる。

 さらに今まで私服だったのが制服になることで、知った顔ですら他人のように感じてしまう。



 上原拓海が小学生の間に築き上げた拙い人間関係は、簡単にリセットされていた。



 チャイムが二時間目の終わりを告げ、一年一組の教室内は息を吹き替えしたように騒がしくなった。

 どこかぎこちなかったクラスの雰囲気も5月を過ぎる頃には、すっかり打ち解けていて、中には廊下で鬼ごっこをする者さえいる。

 そんな落ち着きのない喧騒の中、拓海だけは独り、机に突っ伏して微動だにしなかった。

 周りから見れば、寝ているようにみえるかもしれない。



 拓海は、未だクラスに馴染むことが出来ずにいた。