たくっ‥と、ユウはまた怒ったような呆れたような顔をしながら、キッチンへと足を進めた。



「わたしココアね」

「‥まだ、作るとは言ってない」

「でも、今から作るつもりだったんでしょ?」

「うるさい‥」



そう言ってユウは湯を沸かし始めた。




素直じゃないんだから。

クスッと笑い、わたしは携帯を取り出した。
そして、アドレス帳を開き昨日まで彼氏だった嫉妬深いストーカー野郎のアドレスを消却した。

これでよし。

携帯をパタンと閉じた。




「ユウー、わたしのココア最高に甘ーくしてね」

「はいはい、うんと甘くしてやるよ」



ユウはまた呆れたような顔を向けてきた。



文句言いながらも世話好きで。人をほっとけない。ぶっきらぼうな優しさが、好きだから。


今日もわたしは甘えてしまう。



ユウがわたしを甘やかすから
わたしはずっと恋も出来ない子供のまま、ユウに頼って、甘え続けるの。


拒絶されることがないのを知っているから今日も明日もその先も
アナタの優しさに甘え続けてしまうの。




好きだから、甘えてしまう

アナタは甘すぎるオトコ




            ―fin―