「ユウ、やっぱりゲイなんでしょ?」

「‥‥は?」



耳元でつぶやくような小さな声で言うと、それに対してユウはバカみたいにデカイ声をあげた。



「だってそうでしょ!性欲真っ盛りの若者が女に全く手を出さないなんて。密かに片思いしてる男がいるんでしょ!」

「おい‥」

「男同士だもんね。なかなか言いづらいよね」

「サラ、話しを」

「でも大丈夫!ユウのその顔なら、例え相手が男の子だとしても、いけるって!」

「いけるかぁ!!つか俺はゲイじゃねえっ!!」

「あ、大丈夫。わたし偏見ないし。ユウがゲイでも一生友達だから」

「そういう問題でもねえ!!」



えーと文句を言えば、それから30分。きっちりゲイ説を断固否定された。





―――‥‥‥‥






「わかったか?俺は普通に女が好きだ」



明らかに最初よりどっと疲れたような顔で、ユウは言い聞かせるように言った。



「なーんだ。って、なら結局ユウが“付き合わない理由”は?」



急にそんなことを思い出た。
危うくゲイ説で、聞くのを忘れるとこだった。

じーっとガン見すると、ユウは首をガクンと折った。



「‥‥言わない」



と、逃げるようにユウは立ち上がった。



「言うって言ったじゃん、ウソツキ!!」

「なんとでも言え。ボケ」

「ボケって‥」



なんでわたしがボケ扱いされなきゃいけないのよ。

それからいくら問い詰めてもユウが答えを教えてくれることはなく、疑問と不満が残った。


ウソツキな奴