「な、何…?」

そう聞く心の問いには答えず、俺は心に近づいた。


「い、ん…?」
「心…」

俺は心にそっと口づけた。


「…え…―」

唇を離すと、心は泣いていた。


「心…何で泣いてるの?」

もしかして、嫌だった??

触れない間に俺の事嫌いになったのかな…?


「え…だって…ぐすっ」

心は止めどなく涙を流した。

俺は心の涙を拭った。


「どうした?」
「だって…音。もうあたしの事嫌いになっちゃったのかと…思ってた…」


…馬鹿だな、心は。


「ばーか。俺が心を嫌いになると思った?」
「だって…引っ越してから、キスもえっちもしてくれないし…」

俺は涙目で必死に話す心を見て笑い、またキスをした。


今度はさっきより長いキス。

「…これで分かった?」
「うん…」

心は頬を赤らめて頷いた。

「心…ごめんな、寂しい思いさせて。全部俺達のためだからさ。」
「…あ、もしかしてお母さんとお父さんにバレないようにするため?」


俺は静かに頷いた。

「そっか…なんだ、よかった…」

心は笑って、また涙を流した。


「だからさ、今日は心の行きたい所、したい事。全部俺が付き合うよ」

俺は心の涙を拭いながら言った。


「…本当!?」
「う…うん。」

なんか、心の目が輝いてる。

まさか…