部屋に戻ってから音は。 ずっと黙っていた。 「ねえ、いん。だいじょうぶ?どうしたの?」 あたしは音の顔をのぞきこんだ。 音は泣くわけでもなく、強い瞳であたしを見た。 「な…に」 「こころは。ぼくだけのだ。」 「え…」 チュッ… ふいに、唇にキスされた。 「…」 あたしは驚いて声も出ない。 「こころ」 「いん」 名前を呼び合った。