「心…」

目の前にいるのは。

ソファに倒れている、あたしに馬乗りになっているのは。


あたしの双子の弟、音。


なのに。

音じゃない。


いつもの、音じゃない。


「やめっ…んっ」

あたしが口を開こうとすると、すぐ音に塞がれる。


「ねえ、心。気づいてた?」

あたしの両手を押さえつけながら、音は悲しい顔をしてあたしを見た。


「何が…??」
「…俺、小さい時からずっと。心が大好きなんだよ?」
「え…それって…」


あたしは目を丸くした。


「もちろん。双子のお姉ちゃんとしてじゃない。」
「…」
「女としてだ。」
「い、ん…」


あたしは音を見つめた。


おかしいよ、こんなの。

だって。

あたし達は双子で。


それ以上の関係なんて、持っちゃいけない。