練習が続行された。

菜緒とのデートは終わり、熱い練習が待っていた。

俺は、炎天下の中、外に出る。


グラウンドを走り、ストレッチに体操。

終われば、キャッチボールをする。


フェンスに目を向ければ、いつも、菜緒がいる。


時々目が合うと、君は笑って手を振る。


俺も振り替えすから、顔が真っ赤になる。


「なに照れてんだよ」

とか

「練習中にまでイチャイチャすんなよ」

とか、同じ部員から言われた。


悪い気はしなかった。


菜緒は俺の彼女なんだし。




俺は、甲子園に行くため毎日練習を欠かさなかった。

雨が降っている日も、練習がない日も。


遊ぶヒマなんてなかったし、学校の帰りに一緒に帰るなんて出来なかった。




それでも、俺は夢中だった。


毎日遠くに飛ぶようになる球。

速くベースに届くようになる足。



俺は毎日が楽しくて仕方なかった。

更新されていくタイム、球があがる数。

速くなるにつれ、多くなるにつれ、俺はたまらなくなった。




「悠、最近頑張ってるな」

監督も俺のことを誉めた。

悪い気はちっともしない。


「ありがとうございます」


俺はキャップを取り、一礼した。