「悠!」

あたしは、悠に向かって走っていった。

満点の笑みを浮かべていた。


「・・・・」


悠は何も言わない。

あたしと目を合わさない。

合わそうとしない。


「悠・・・。あの、ごめんね?」

あたしは、慌てて悠の肩を叩いた。



ーパシンッ



「・・・・え」


あたしは、呆然とした。

もう、分からない。

どうしていいのか、

分からない。

分からないの。

分からないんだ。



お願い。

お願いだから、ねぇ。

悠、あたしに気づいてよ。


あたしに話しかけてよ。

無視しないでよ。



あたしは、悠に叩かれた手を見た。

あんなこと、一度もされたことがない。

初めてだった。

こんなこと。



・・・・怖い

怖いよ。

悠・・・・。


助けてくれるんでしょう?



そのとき、あたしは信兄のことを思い出した。


「信・・・兄ぃ」