俺の初試合は、あっけなく空しく終わった。

俺は、最後の〝ゲームセット〟を聞かずにその場を出た。

悔しい。

悔しい・・・。

なんで、俺が??

俺だけが・・・・・。

不二は、セカンドベースの前で足を出した。

俺は、それをかわせるはずもなく、転んだ。

夏の大会も出れなくなった俺は、

俺は、どうすればいいんだよ?

やっと、入部した野球部なのに。

初めての夏の大会なのに。

不二は、次の大会も、夏の大会も、

全ての試合に出られるのに。


俺は、たった一度のことで

希望をなくし、恐怖をもった。

当時の俺は、弱くて、弱くて

弱かった・・・・・。


でも、

そこまで、弱かった俺を支えてくれたのは

菜緒・・・・だった。

俺は、3ヶ月間右足が動かない状態だった。

転んだ衝撃についた左腕が、骨折していることも言われた。

俺は・・・

菜緒もいなくなると思ったあの日。

怖くて、思い出したくない。


あんな日・・・

もう、忘れてしまいたい。