「はぁ」
私は、溜め息を吐いた。
「しょうがないか・・・開かないもんは。でも―――」
私はすぐ近くにある、りっぱな松の木に足を掛けると、幹を掴み思い切って登った。
「――こんなもんじゃ諦めないっ!」
スカートの下から、下着が見えようが構わない。
どうせ、誰もいない・・・いや、確認してないけど。
第一、見せて減る訳でもなし!
白く細い足を惜しみなく出して、塀にヒラっと飛び乗る。
「ん?アレ!私ってば忍者みたい。運動神経いいんだ」
得意顔になって、頷く。
「さて、いざ娑婆へ―――ぶっ!?」
痛っ!
馬鹿なセリフを言ったせいか、下に降りようとした瞬間、何かに顔をぶつけた。
「なっ・・・何?」
え、見えないツッコミ??
「え―?まさか」
前に手をやってみる。
「んん?」
これは・・・見えない壁がある。
透明なガラスみたいに何もないのに、あるソレが私を拒む。
ぶつけたおデコを擦りながら調べてみると、透明の塀はずっと続いていて、出られそうもない。
「困ったな」
出られないじゃん。
仕方がないので、庭の方に飛び降りた。
古い家が、私の目に映る。
「長い年月が経ってそー。築何年?」
あっ、あそこ、瓦がない!?ないよ??
どこかに飛んでいったのか、落ちたのか、屋根の瓦が所々ない。
それに、家の雰囲気も暗く感じる。
「うぅ〜ん?」
暗く感じるのは、やっぱりボロいから?
なんだか、背筋が寒くなってきた。