「今日、人多いですね。」 「そうですね。僕、人混み苦手なんですよね。」 今日は休日だけあって、いつもより人がとても多かった。 「はぐれないように気をつけてくださいね。」 「君も気をつけて。君は小さいから、人混みに埋もれたら絶対見つからないと思うし。」 「了解です。でも、もし埋もれたら助けてくれます?」 神田くんは、チラッと私を見てから 「時と場合によりますよね。」 と答えた。 「え。」 「嘘、嘘。助けますから安心して埋もれてください。」 「埋もれてくださいって……。」