「君は本当に負けず嫌いだなぁ…。」 神田くんは困ったように眉毛を下げて小さく笑った。 「だってだって…。」 「だっては禁止です。」 「…………はーい。」 まるで父親に怒られた子どもみたいな私を見て、神田くんはクスクス笑っていた。 「君は拗ねると大変だ。」 「神田くんには言われたくないです。」 「僕だって君には言われたくないよ。」 無意味な言い合いを繰り返しながらも、足は確実に2人ともケーキ屋さんに向かっていた。