挨拶が終わって、試合が始まった。




「あ、神田くんだよ!」




千香が指差した先を見ると、キリリと真剣な顔で、さっきとはまったく別人の神田くんがいた。





「わぁ…。」




「ピッチャーなんだよ。上手でさー。隆弘がすごいって言ってた。」




「へぇ…。そうなんだぁ。」





神田くんがボールを投げる姿を初めて見た。すごく速くて、キレイなフォーム。



(きっと彼の事だから、手首の角度とか計算したりしてるんだろうな。)



なんて、くだらない予想を1人でしていると、千香が笑いだした。



「ひな、1人でニタニタして怪しいよ?」




「嘘?!私ニタニタしてた?」




「うん、かなり。」





千香曰くニタニタの顔を慌てて引き締めた。