私たちのやり取りを見ていた小松くんは、子犬みたいな目で

「分けてもらってもいいですかぁ?」

なんて聞いてきた。


女の子みたいな、うるうるの目はきっと、小松くんの武器なんだろうなぁ。



「え、あ。どうぞどうぞ。」


「わーい!ありがとうございます!」



小松くんは私の手を握って、ぶんぶんと勢いよく振ると、ニコニコしながら、フフフ、と笑った。



「こら!小松!手を離せー!」


「げっ。隆弘くんの彼女さんだ。」


「ほら。戻った、戻った。一緒に行くよ。」



私の後ろから、驚くほどのスピードで千香が出てきて、小松くんを掴んで隆弘くん達のところへ連れていってしまった。