「あ、そういえば。」
神田くんは、突然何かを思い出した様子でカバンをガサゴソし始めた。
「お弁当箱。すっかり忘れてた。」
「あ、私も忘れてました。」
「うっかりさんですね、僕達。」
「ふふ。そうですね。」
お互いペコペコ頭を下げながら、神田くんからお弁当箱を受け取ってカバンに入れた。
「あ、ごめん。荷物増えちゃいましたね。」
「え。あ…大丈夫です。」
「帰りにすればよかったですよね。持ってましょうか?僕。」
「大丈夫ですよー。ありがとうございます。」
やっぱり神田くんって優しいなぁ。
私の事なんて気にしなくていいのに。
いつも変人なのに、たまーに優しい彼に、ちょこっとだけ…キュンとしてしまった。


