「はぁ…」



頭上からは呆れたようなため息。



迷惑かけてるのはわかってる。



でも…



ギュッとさらに強く抱きついたあたしは絶対離れないとばかりに白衣を握りしめた。



「ヤダ…」



「………」



「絶対……ヤダ…」



そして顔を擦り付けながら、消え入りそうな声で呟いた…



瞬間、



「…もう逃げも隠れもしねぇから。」



「えっ…」



「待たせたぶん…いや、それ以上、今度は俺が待っててやっから…。」



「えと…」



「もちろん、あの日の…“ブーケの返事”……もな。」



突然、耳元に唇を寄せ、ギュッと力いっぱい抱きしめてきた先生は、



「だから……行け。」



「えっ?……あっ…」



あたしの腕の力が緩んだ隙をついて、グイッと肩を押し返してきた。