――ガラガラガラ

「ちょっとお邪魔するよ」

体育館の引き戸が開き、太った中年の男性が入ってきた。

この金白小の校長である。

頭はつるつる、お腹は丸るく、まるでどでかいビーチボールでも入っているかのようだ。
ひげをたくわえて白いポロシャツを着た校長は、さながらセイウチっぽくもある。

子供たちはみな校長のほうを注目し、動きを止めた。

コーチの武田は小走りで校長に走り寄る。

「こんにちは、どうしました?」

「練習してるとこすまんが、倉田はいるかな?」

校長はきららを名指しした。

「……きらら、だって」

彩は、校長のほうに顔を向けたまま、きららに話しかけた。

「……うん」

きららは、ポカンとしたまま、うなづいた。