「あーのど渇いた……」


きららは犬よろしく舌を出した。

ショートカットの髪はもうびしょびしょに濡れていて、さながらシャワーでも浴びたかのようだ。

汗はとめどなくあふれ出てこめかみを伝い、ほっぺたへと流れていく。

背中に背負ったリュックがびしょびしょの背中にひっつき、実に気持ちが悪い。


海沿いに大規模な石油化学工場を有する典型的な工業都市。

きららはこの町に住む、スポーツ好きの活発な女の子だ。

この日は土曜日で学校は休みだが、午後からミニバスケット部の練習があるため、徒歩で学校に向かっていた。