女社長は12歳

「おじいちゃん、要するに、おじいちゃんがそのなんとかという女と同棲したいがために、この私に会社を押し付けてドイツに高飛びしよう、ってワケね?」

「いやいや、そうじゃないよきらら。遅かれ早かれ、きららには会社を引き継いでもらおうとは思っていたんじゃ。ちょいと時期が早まっただけじゃて……」

聞けば聞くほど、良造の言葉に対して怒りが涌いてくる。

「もういい! わかったよ! 自分勝手にも程がある! おじいちゃん嫌い!」

「おい、きらら……」

「もう寝る!」

きららは椅子がひっくり返るくらいの勢いで席を立ち、リビングを出て部屋に帰っていった。階段から響いてくる、ドスンドスンという足音がきららの怒りを物語っている。