女社長は12歳


「ちょっとおじいちゃん。それ、どういうこと? そんなこと、さっき一言も言ってなかったじゃない」

「いや実はな、わしもばあさんを亡くして今までずっと一人でやってきたんじゃが……今度その……なんというかのう……一緒に住みたいという女性が現れてのう……」

「へ? それって……再婚されるんですか?」

マチ子は呆れた口調で良造を見た。

「いや、まあ別にそんなことはないんじゃ。ただ、一緒に暮らそうかな、と思ってのう……」

「でも、一緒に暮らすって、こちらへ住まわせるのではなくて、ですか?」

マチ子の言い分はもっともだった。

こんな立派な屋敷に三人で暮らしているのだから、空き部屋は何部屋もある。

良造は妻に先立たれたのだから、今はれっきとした独身だ。

年のことはともかく、新たな嫁をもらい、自分の家で共に暮らすのは、別に不思議でもなんでもない。

むしろ、家を出るというほうが不自然である。

しかし良造は続けた。