良造はエレベーターの前を通り過ぎ、その脇にある階段で下に降りていく。

きららは、仕方なくその後ろをついていった。

良造はいつも、なるべくエレベーターを使わず階段を使っているらしく、年の割りに歩を進めるのが早い。

きららはけっこう必死に歩いていた。

数階、下に降りると良造はフロアに出て、とある部屋の前で止まった。

きららは良造のななめ後ろに止まり、良造のほうを見た。

「きらら、これからうちの幹部の前で話をする。お前もおいで」

「へ？　……」

何がなんだか状況が飲み込めないきららに有無を言わさず良造は部屋のドアを開け、中に入っていってしまった。

きららは、恐る恐る部屋の中をのぞいてみる。

中には会議用のテーブルがコの字型に並べてあり、四人のオジサンが座っていた。